続・ドキドキ台風(なめんなよー!)

ながた岬

2007年07月16日 02:27

屋久島育ちの私は、目の前が海であったにもかかわらず小学6年生までまったく泳げなかった。

いつでも泳ぎに行ける環境にあったからか学校にプールはなく、小学校で水泳の授業を受けた覚えはない。
泳げなくても浮き輪さえあれば、いつでも友達と海や川へ入って遊べるのだから気にしたことはなかった。(今思うととてもデンジャラス!)

6年生の夏休み。
雨もやんだ台風の翌日に、友達のTちゃんと二人で海へ行った。
彼女の家から松林を抜けて3分で海に出る。
台風の影響でまだ波が高いことは堤防からでも見えた。

私たちは、今までこんなに波が高い日に泳いだことはない。
だから、そんな日に泳ぐとどういうことになるか予測できなかった。
雨で、もう3日も遊んでなかったから楽しくてしょうがない。

少し泳げる彼女は浮き輪など使わない。
私はいつでも浮き輪があるから、怖いものなしだ。
それでも波を気にしながら海に入る。
波打ち際でザブーンと押し戻されて、なかなか海に入って行けない。
波に転がされて笑っているうちは余裕があった。

引いていく波に乗り海に入って行く作戦をたて、彼女は私の浮き輪につかまる。
「よし、いこー!」
海中の砂を蹴りながら二人は引いていく波に身をまかせた。
「わおー!」
波に乗った。すごい高さから砂浜を見ている。

「ヒェー!ちょっと・・・」 
こわいね、と言いかけた時、頭の後ろからザブーンと波がかぶさってきた。
のり巻きの芯になったように、海中で何回転も巻かれて息ができない。
どの方向が上なのかまったく分からないままもがき続けた。
海水をしこたま飲み「あぁ死ぬんだ」と思ったその時、何とか砂浜に打ちあげられた。

引いていく波に再び引きずり込まれそうになるのを必死でふんばりながら、砂浜へ這っていく姿はアリ地獄に落ちたアリのようだったかもしれない。

Tちゃんと二人、ぐったりと砂浜に横たわる。
助かった・・・。
怖かった・・・。

怒られるだろうと思い、誰にも言えなかった二人。

生きてて良かった・・・。

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